今から振り返っても、10代最後の恋は、人生最大の片想いでした。
相手の年齢は、おそらく30代前半。
私がよく足を運んでいたカフェの店員さんでした。
彼の第一印象は「苦手なタイプ」
学校おわりに、私はよくカフェに立ち寄っていました。
読書をしたり考えごとをしたりするのに、家だと家族がうるさかったからです。
その日も、いつものカフェに行きました。
いつもの女性の店員さんの姿はなく、注文場所には見慣れない男性が……。
カフェラテを注文すると、その店員さんは、私の目を見ることなく注文をくり返し、お釣りを渡すときも、私の手に、お金を落とすようにしました。
(感じ悪いな……)
せっかくのお気に入りのカフェなのになあと残念に想っていました。
彼を意識したのは意外なリアクション
もともとわたしは、人見知りをしないタイプでした。
初対面の人との会話も楽しめます。
モヤモヤした気持ちのままなのも嫌ですし、このカフェに来るたびに、今日のことを思い出すのも嫌。
思いきって、話しかけてみることにしました。
「私、このお店が大好きなんです」
すると、店員さんの顔はみるみる真っ赤に!
「ありがとうございます。人見知りで……愛想がなくてすみません」
と、赤い顔で不器用に笑ったのです。
年上の方だったのに、失礼ながらも「かわいい人!」と想いました。
恋心が膨らんだ時に分かってしまった彼の正体
その日から、私は毎日、店員さんに逢うためにカフェに通うようになりました。
木曜日がお休みなのか、店員さんがいなかった日は、すごくがっかりしたり。
「私、あの店員さんのことが好き」
自覚すると、恋心はぐんぐんと膨らんでいきました。
しかし、カフェに通い続けて半月ほど経ったある日、私は見つけてしまったのです。
店員さんの左手薬指に指輪がはまっていることを……。
そう。店員さんは、既婚者だったのです。
私の心臓はバクバクし、カフェラテをテイクアウト用のカップに入れてもらい、受け取るとすぐに店を出ました。
そのまま家に帰り、自分の部屋へ。
目から大量の涙が流れました。
既婚者の彼……それでもあきらめられない恋心
結婚している人と、恋はできない。
そう思いました。
ですが、考えれば考えるほど、店員さんのことを好きになっていきます。
カフェに行かなければあきらめられるかもしれないと想い、一週間お店に行くのをやめるなんてことも……。
でも、よけいに店員さんのことが気になってしまいました。
このままでは、立ち止まったままどこにも行けない。
私は、告白することを決めました。
店員さんにも好きになってもらいたいし、付き合いたい。
それが、正直な気持ちでしたが、無理だともわかっていました。
思い切って一週間ぶりのカフェに。
店員さんは、私を見ると微笑んで、「お久しぶりですね」といってくれました。
それだけで嬉しくて……。
そして、注文よりも前に、想いをぶつけました。
「好きです。結婚しているのも知っています。でも、伝えたくて。ごめんなさい」
店員さんは驚いた顔をした後、困ったように笑いました。
「ありがとう。でも、ごめんね」
何度もうなずき、私はカフェオレを注文しました。そして、「これからも通います」と笑って伝えました。
既婚者の彼に想いを伝えたからこそ先に進めた
その後も、私はカフェによく足を運びました。
想いを告げたあとしばらくはつらかったですが、徐々に気持ちも落ち着いていきました。
そのうち、同い年の人に恋をし、交際をすることに。
その彼と一緒にカフェに行き、店員さんに彼氏だと紹介しました。
家庭のある人への恋はつらかったですが、今ではとても良い恋の想い出です。