彼と付き合い始めて、3ヶ月ほどです。
私は彼に毎日でも逢いたくて、逢えばデートもしたいですし、もちろん身体を重ね合うこともしたいと想っています。
ですが、同時に、彼に逢う度に大きな不安が私を襲うのです。
「もしかしたら、彼が私と付き合っているのは、身体が目当てかもしれない」
考えたくないことなのですが、どうしても頭をよぎってしまいます。
私と彼~公表できない交際
私たちは、お互いに独身です。
不倫など、道ならぬ恋をしているわけではないのですが、周囲には交際していることを隠している状態です。
というのも、私と彼は、あまり親密になるのは良くないといわれている職業にぞれぞれ就いているのです。
交際を始めてすぐは、せっかく好きな人の恋人になったのに、二人の関係を誰にも言えないことが残念で……。
ですが、それ以上に、私はあの人の恋人になることができた幸せをかみしめていました。
甘い初デート~二回目のデートで……
はじめてのデートは、お互いの職場から離れた場所へ出かけました。
私からせがんで、ツーショットの写真を撮ってもらいました。
彼のはにかんだ顔の隣に、満面の笑みの私が写っています。
「ちょっと写りが悪いな」とおどけると、彼は、「次はもっとうまく撮ろう」と笑っていました。
スマホの待ち受け画像にしたい気持ちもありましたが、いつ職場で見られるかわかりません。
プリントアウトして家に飾りました。
初デートから数週間後、二回目のデートに出かけることになりました。
待ち合わせ場所へ行き、少し早めの夕食。
お店を出ると、彼が私の手を握って、黙って歩き始めました。
そしてたどり着いた先は、ホテルでした。
歩いているときの雰囲気から、なんとなく察していました。
彼と目が合ったとき、私は黙ってうなずきました。
こうして私たちは、身体の関係を持ったのです。
大好きな彼と身体でも結ばれたことは最高の幸せで、私は涙が出そうなほどでした。
彼と逢えない日々に押し寄せる不安
身体を重ねたデートのあと、彼としばらく逢えない毎日が続きました。
デートの約束はしていたのですが、いつも直前になって彼に急な仕事が入るのです。
(また……?)
心に闇が立ち込めてきたような、そんな不安を感じました。
彼にとって、私とのデートよりも優先したいことがあるのではないか、と想像しては落ち込んでいました。
ようやく訪れた三度目のデート以降……
やっと予定が合い、彼と三度目のデートをすることになりました。
すると、待ち合わせ場所に着くや、彼はホテルに直行したのです。
そんなに求めてくれているのかと、私は胸が熱くなりました。
ですが、身体を重ね終わると、彼はこういったのです。
「今日はこの後用があって……」
ドライブや食事、カフェでのお茶もなく、身体を重ねただけで三回目のデートは終わってしまいました。
それ以降、私と彼は頻繁に逢うようになりました。
ですが、そのデートはすべて、ホテルだけ。
まるで、セックスをするためだけに逢っているような状態になってしまっています。
「食事に行かない?」と誘うと、彼は渋い顔をして、「誰かに見られるような気がして心配なんだよね」といいます。
そして、つい最近、初デートの際に撮った写真の話をしたときでした。
「その写真、処分してほしい、データも消して。ごめん、心配性なんだ」
ショックでした。
初デートの日、「次はもっとうまく撮ろう」といった彼の笑顔は、遠くに行ってしまったようでした。
外で手をつなぐことも断られるデートは、すごくみじめです。
私ばかりが本気で彼を愛しているようです。
身体を重ねながら、「身体目当てなのではないか」と疑ってしまうのですが、それを明らかにする勇気は、今の私にはないのです。