30歳になると同時に付き合い始めた彼は、いわゆるハイスペック男子でした。
優しさは周囲の人のお墨付きですし、仕事もできて、収入も多い人。
私は、彼と結婚出来たらいいなあと想うほど大好きで、彼も将来を考えているといってくれていました。
それなのに、私たちは別れることに。
きっかけは、私の“妊娠”でした。
職場で知り合ったハイスペ彼
私は看護師をしています。
勤める病院のドクターである彼と一緒に働くうちに、交際するようになりました。
彼は物腰が柔らかく、患者さんからも人気のドクターです。
その上、勉強熱心で、かつ仕事ができる人です。
学会などで発表をすることもあり、年配のドクターからも「ルーキーだ」と太鼓判を押されていました。
仕事ができるところはもちろんですが、私は、勉強熱心で、患者さんのために時間と労力を惜しまない彼に惹かれました。
ハイスペ彼氏と順調な交際
忙しい彼ですので、デートもあまりできませんでした。
それでも、職場に行けば逢えますから、私はそれで満足でした。
たまに休日が合えば、どちらかの家でゆっくり過ごす。
そんな交際を続けていきました。
ケンカをすることもなく、順調に交際が進む中、わたしは彼との結婚をイメージするようになりました。
将来の話を無意識に口にして、「あっ、重かったかな?」と焦ることもありましたが、
彼は嫌な顔一つせず、むしろ、話に乗ってくれました。
「君との将来のことも考えている」ともいってくれて、とても幸せでした。
結婚するならこの人だ、と信じていました。
ハイスペ彼氏と交際2年目のその時……
交際を続けて2年が過ぎた頃、体調が優れないことが続いた私は病院へ。
すると、妊娠していることが判明したのです。
彼とは将来を考えてはいましたが、子どもの話はしていませんでした。
もちろん避妊はしていたのですが……。
私は驚きましたが、彼との間の子だと思うと愛情がわき、嬉しかったです。
彼の仕事が終わるころに連絡をして、妊娠を報告しました。
彼は、しばらく黙ったまま。
私自身も最初は驚いたので当然の反応だと思っていたのですが、次に彼が言った言葉は、
「ちょっと考えさせてほしい」
でした。
それ以降、彼は私に対してよそよそしくなりました。
職場では目を合わせてくれなくなりましたし、連絡をしても返事をしてくれなくなったのです。
想定外だったハイスペ彼からのひとこと
しばらく話ができない状態が続き、やっと彼と話す機会を持つことができました。
彼はしばらくうつむいて黙っていましたが、「私は産みたいし、あなたと結婚して育てていきたい」というと、首を横に振りました。
そして、一言「別れてほしい」といったのです。
耳を疑いました。
嫌だと答えると、
「それなら堕胎をする? 今ならまだ意識もないし罪悪感を抱かなくてもいい」
と……。
ドクターである彼からは聞きたくない、ひどい言葉でした。
そのときの彼の目は冷ややかで、命の芽生えへの喜びを感じているとは思えませんでした。
「今は仕事も大事だし、結婚前に妊娠しているっていうのも体裁が悪いってうちの親も大反対している。もし産んでも、認知はしない」
そういった後、彼はひとつ息をついて
「それに、そこまで君を好きじゃない」
といったのです。
将来を考えているといった言葉は、出まかせだったのかとショックでした。
ハイスペ彼氏とこれからの決断
何をいっても、彼の考えは変わりませんでした。
私は毎日泣いて暮らしましたし、悩みました。
彼と別れるか、子どもをあきらめるかの選択を迫られていたのですが、
最終的に私が選んだ道は、「彼と子ども、両方とのお別れ」です。
こんなことがあっても彼と付き合い続けるのは無理だと思いましたし、
父親のいない子を産んで育てる覚悟も私にはなかったのです。
大事な命をあきらめたことは、一生私に重くのしかかると思います。
決断をした今も心はボロボロで、まだ膨らんでいないおなかでも、見ると気がおかしくなりそうです。