【今回の登場人物】
- 女:会社勤めの30歳。夫と25歳で結婚。野球観戦が趣味
- 旦那:フリーランスのデザイナー。女とは高校の同級生
- Kさん:野球オフ会で知り合った、女の不倫相手。
単なる友達だと思っていた異性を急に意識し始め、恋愛関係になることって珍しくありませんよね。
ただし、私の場合は二人とも既婚者。
つまり、不倫――。
「良い不倫」や「許される不倫」なんてものはなく、倫理的に「いけないこと」だとわかっているけれど、今では旦那よりも不倫相手のことを愛しているんです。
旦那と私の間に刺激はなく単に「生活を共にする存在」
同級生の旦那とは高校2年の時から付き合い始め、旦那が大学へ進学し、私が高卒で就職した後も交際は続き、25歳で結婚しました。
ただし、「この人と結婚したい」というよりも、他の男性と恋愛をする機会がなかったので、旦那以外に選択肢がなかったというのが本音。
たぶん、旦那も同じ気持ちだったはず。
付き合いが長いため、30歳の今では単に生活を共にするパートナーのような存在になっていて、仮に私の不倫に気づいても旦那は決して取り乱さないでしょう。
趣味の仲間が集う場で出会ったKさんに惹かれ始める
私には昔から「野球」という趣味があり、友達と一緒に試合を観に行ったり、専門誌を買い集めたりしていました。
そして、SNS上で同じ趣味を持つ友達が増え、オフ会のような場で知り合ったのがKさんです。
最初から不倫相手を探すつもりでオフ会に参加したわけではありませんが、Kさんは年齢が近く、好きなチームや選手が一緒だったので、すぐに意気投合。
何度も顔を合わせる中で、どんどん惹かれていきました。
もともと夫は束縛してくるタイプではなく、週末に家を空けても文句は言いません。
子どもがいないこともあり、結婚後も自由に遊び歩けたことが私を不倫に走らせた要因の一つだったのかも……。
野球観戦後に二人で飲み、そしてホテルへ……
夏場の野球観戦と言えば、ビールでほろ酔い。
ひいきのチームが得点すれば隣の人とハイタッチ。
そんなシチュエーションで気になる人との距離が縮まらないわけがありません。
Kさんとは同じ沿線に住んでいたので、試合観戦後、仲間と別れて二人で同じ電車に乗ったのですが、彼の「まだ飲み足りないよね」の言葉をきっかけに途中下車。
居酒屋に入り、野球の話もそこそこに家庭の愚痴をこぼしたり、性癖や不倫願望を語ったりと、お酒のせいか、お互いにかなり心の内をさらけ出したのです。
そうなったら、「あうんの呼吸」というか、やることは一つというか……。
居酒屋を出た後は無言でホテル街に向かい、不倫関係へと踏み出してしまいました。
Kさんとの不倫を通じて初めて恋愛の楽しさを知る
昼間の会社勤めをしている私に対して、フリーランスのデザイナーをしている旦那は夜型人間。
生活時間帯がズレているので、食卓を共にすることはほとんどなく、まったく顔を合わせない日もあるほどです。
考えてみれば、旦那との間に共通の趣味はなく、価値観も似ているとは言えません。
一方で、Kさんとは「野球」という共通の趣味があるだけでなく、同じものを見て同じように笑い、感動するといった瞬間が多々ある「似た者同士」。
一緒に過ごすたびに素敵な想い出が積み重なり、「Kさんとずっと一緒にいれたら、どんなに楽しいだろう」とか「Kさんと結婚したい」という気持ちが湧き始めました。
私たちの間では不倫ではなく恋愛
私の中でKさんとの関係は不倫ではなく、恋愛関係。
それはKさんも同じだったようです。
先日、Kさんから「あなたと結婚したい」と言われて、私は心が躍るような高揚感に包まれました。
もちろん、二人とも既婚者なので今すぐ結婚なんてできませんし、離婚するのも簡単ではありません。
「困らせてごめん。でも、そのくらいあなたのことを本気で愛しています」
真剣な表情で言ってくれたKさんに対して、喉まで出かかった「私も結婚したい」という言葉をグッと飲み込みました。
もっと早く出会いたかった……。
二人が不倫関係であるのを思い知らされ、現実に引き戻された時の悲しさや胸の痛みにはいまだに慣れることができません。