好きな人と一生をともにすることができると、幸せいっぱいで始まった結婚生活。
でも、そんな私に待っていたのは、夫からの“経済DV”でした。
まさか経済DVにつながるとは……結婚生活の始まり
結婚を機に、私は専業主婦になりました。
生活費は、夫の給料等が振り込まれる口座から引き出すことになりました。
結婚して一か月ほど経った月末のことです。
夫が「話がある」といい、通帳をテーブルに置きました。
「一か月の生活費、かかりすぎ!」
私は謝りましたが、正直、怒られるほどではないとも思っていました。
「来月から生活費は俺から直接渡す。その範囲でやりくりして」
夫がついたためいきは今でも覚えています。
夫から渡された生活費は30,000円
月が替わり、夫は30,000円の入った封筒を差し出しました。
「食費と日用品費で30,000円?」
「なにいってるの? 光熱費とか、生活費全部で30,000円!」
これまでの生活にかかっていたお金の半分以下でやりくりするよういわれたのです。
さすがに少なすぎると言ったのですが、夫が「何とかするのが専業主婦の仕事だろ?」と。
お金を稼いでもらっているという負い目もあり、とにかくやってみよう、と思いました。
「お金が足りません」そう言った時の夫の反応といったら……
私は節約を意識するようになりました。
スーパーでは、特売品や値引き商品を選び、水道代節約のためにお風呂のお湯も少なく。
昼間はたとえうす暗くても電気はつけません。
夏場でしたが、エアコンも我慢。
それでも、月の半ばを過ぎたあたりに生活費が足りなくなりました。
「今月の生活費が足りなくなってしまった」
そう告げると、夫はひどく怒ったのです。
「もうないなんて、どんな使い方してるんだよ!」
「足りなくなったのはおまえの責任なんだから、自分で何とかしろ!」
結局、私は結婚前から貯めていた自分の預金から切り崩すことにしました。
小遣いも交際費もナシ。友だちと食事にもいけない
私には、お小遣いはありませんでした。それも30,000円の中に含まれていたからです。
化粧品や洋服にかかるお金、交際費もです。
当然、昔からの友人と食事に行くこともできなくなりました。
何度も誘いを断ったせいで、ある日電話をしてきた友人に「何かあったの?」と心配されました。
そこで、状況を話しました。
「それ、おかしいから」
その後すぐに家にやってきた友人から“経済DV”の話を聞いたのです。
経済DVは自覚しにくい暴力
友人は経済DVの代表的な例を教えてくれました。
・極端に少ない生活費しか渡さない
・自由に使えるお金を認めない
・支出内容を細かくチェックする
・無断で借金をする
・妻に借金をするよう強いる
夫は、1と2に当てはまっていました。
友人にいわれるまで、夫の行動が“DV”だとは思っていませんでした。
経済的な基準は家庭ごとに異なるので、単純に比較することはできません。
自分たちの経済事情を話すことにも抵抗もあります。
それが、よけいに経済DVに気づきにくくさせていました。
友人に背中を押してもらえたような気持ちになれたので、私は夫と話し合うことを決めました。
また怒られるかもしれない……。
怖い気持ちはありました。
ですが、月にかかる費用の平均をすべて洗い出し、勇気を出して「30,000円ではどうしても無理」と訴えるだけでなく、働きに出ることも提案してみました。
話し合いを通じて分かったのは、夫に悪気があったわけではないということ。
夫に、生活費に関する知識がなかっただけなのです。
細かな数字を見せることで夫もわかってくれ、それ以降、渋々生活費を倍以上渡してくれるようになりました。
私のように、話し合うことで経済DVのような状態が解決するのなら、それが一番いいです。
ですが、話し合っても理解されない、苦しい状態が続くこともあるでしょう。
経済DVは、わかりにくいけれど「暴力」。
私はそう学びました。
つらい思いは我慢してはいけませんね。